【やめとけ】S&P500 4倍ブル誕生!買う意義はあるのか検証してみた

資産形成&節約
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みなさん、レバレッジ投信は好きですか?僕はレバレッジの合理性は理解しておりますが、自分のリスク許容度が低いので少しだけしか所有していません。この下落相場で自分のリスク許容度の無さを痛感しました。もちろん売ってないけどね。

そんな中、SNS上でS&P500の凄いレバレッジ商品が誕生したとウワサに聞きました。なんと4倍ブル(レバレッジ)というではありませんか!

ぼく
ぼく

さすがに4倍はやりすぎなんじゃないかなぁ・・・・

と直感的に思いましたが、それは多分に偏見を含んでいます。ここはエンジニアらしく、数値で定量的に抑えた上で4倍レバレッジがアリかどうかを考察することにしました。この記事が4倍ブルに興味を持っている方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。

YouTubeも見てね!

どんな商品かを調べてみる

T&Dアセットマネジメント社より発売される商品だそうです。詳細はリンク先からご覧ください。

たしかに4倍とある・・・

この4倍レバレッジをここでは以下2つの方法で妥当かを考えてみたいと思います。

①は比較的簡単な計算で、巷でもよく計算されていると思います。過去の履歴にレバレッジ計算を当てはめて、最適レバレッジを考える手法です。あくまで”タイムスリップできたら”という前提に立って考えたもの。

②はもう少し高度な計算をします。具体的にはS&P500の統計的性質をもとに未来はこれくらいのリターンが期待できるだろう、という予測をするものです。手段の詳細は以下の記事をご覧ください。

①過去データにレバレッジ倍数を適用してみる

上のグラフは1985/9/26を100とした一括投資をした場合のパフォーマンスを示しています。どこで切り取るかにもよるのですが、4倍が活躍していたのはITバブルまででそれ以降は3倍の後塵を拝しています。せっかく4倍というリスクをとったのにリターンが得られていないという結果です。

上のグラフは現在(2022/2/6)時点のS&P500比とのパフォーマンス比をレバレッジ倍数を横軸にとって整理したものです。2.7倍以上のレバレッジ倍数はやりすぎであるのがよくわかりますね。

このグラフは毎日1ずつ積み立て投資をしたという仮定で算出しています。積み立てだと暴落したところからまた買い増しできているので、前述の一括投資よりも結果はマシになってますね。

同じようにS&P500比で見てみると積み立てであってもレバレッジ2.7倍以上はやりすぎなのは同じ結果でした。さすがに4倍は逓減が強く効きすぎてます。

②株価予測モデル(幾何ブラウン運動モデル)で計算

次に株価予測モデルでの計算をやってみます。詳細は別記事に任せるとして、ざっくりとした考え方のみを説明しましょう。

数式で示すとこんな感じ。ギョッとするかもしれませんが、内容は意外に簡単です。少しずつ成長する項とばらつきを表す項の足し算で表現してるだけ。これを解いて分析してみた結果がこちら。

上のグラフは レバL倍中央値/レバなし中央値 の比をとったときにEXPに現れる2次関数を示しています。とりあえずこの数値が0を上回っていたら数値が大きいほどパフォーマンスがよく、0を下回るとS&P500に負けると思ってください。

この結果も同じようにレバ2.6倍に最適点を持ち、レバレッジ4倍でリターンが下がってるのがわかります。同じような分析をしても、結局4倍はやりすぎなのです。

リスク許容度との兼ね合いもありますが、もし買うなら2倍程度のものがよいのかなと思います。たとえば上のiFreeレバレッジ S&P500とかがよさそう。僕はレバナスでお腹いっぱいなので買いませんけどね。

レバレッジは長期投資に向かないと言われる理由

ところで世間ではレバレッジ投信は長期投資に向かないという意見も根強くあります。様々な理由が語られていますが、ひとえに下のグラフに集約されていると僕は思います。

これは前述の積み立てをやった場合の結果です。これを見ると暴落しているところでS&P500を下回ってそうな点がありますよね。これが長期投資に向かないと言われる所以です。

長期投資とは確実に資産を成長させねばならないものという観念が強くあります。リスクをとってリターンまで下がれば不幸と考えられても仕方ありません。レバレッジをかける以上、必ず指数を上回っていないといけない、という固定観念とも言えます。

ただ、よく見るとここで酷評した4倍でさえも暴落時以外はS&P500を上回っているのです。言い換えるとS&P500を上回ってる期間のほうが長いということ。この事実を一声で「レバレッジは長期投資に向かない」と片付けるのは、あまりにもったいないのではないかな〜と僕は思います。ほどほどでやればいいんじゃないかな?

暴落シーンでどうなってるか見てみた

各暴落シーンでレバレッジ投信がどういう動きをするか見てみましょう。

ITバブル

ITバブルの底では4倍だけがS&P500にタッチしているような挙動になっています。2倍、3倍は底でもS&P500より上にいますね。この計算は手数料や信託報酬を勘案していないので、おそらく4倍はS&P500を下回ることになるでしょう。やはり4倍、お前はダメだ。

リーマンショック

次はリーマンショック。ここでは4倍のみならず3倍もS&P500を下回る結果になっています。2倍はなんとか堪えている感じですね。これを見てみなさんどう感じるでしょうか?もし当事者だったら1985年から積み立ててきて20年以上経って元の指数に負けるなんて精神的にかなりキツイですよね〜。ITバブル前、リーマン前に売り抜けるチャンスはあったと悔やむことでしょう。

コロナショック

最後はコロナショック。他の暴落と比べたら、このショックは軽いもんです。逆転しているのも4倍だけです。

結論:さすがに4倍はやりすぎだ

過去のチャートに当てはめた検討や株価予測モデルを使った検討をしてみても、双方の結果が4倍はNGと示す結果でした。直感どおりです。もしレバレッジを検討される場合でもやはり2倍程度に収めておくのがよいと思います。

こういう商品が出てくるあたりバブルなのかな〜と心配になりますね。もちろん米国株は少しずつ成長してくものとは思いますが、その道程には必ず暴落が伴います。こんな商品は盲目的に「米国株って絶対上がるんでしょ?」と舐めプしているやつが餌食になる未来しか見えません。このブログの読者におかれましては懸命な判断をしてレバレッジ設計を

おまけ:資産運用おすすめ書籍

僕が実際に読んで「ほんとうに良い本だなぁ〜」としみじみ感じた名著をご紹介します。どれもめちゃくちゃ良い本ばかり。インデックス投資を始めたての方におすすめです。

以下の中にはKindle Unlimited(月々980円 読み放題)のサービスで利用できるものもありますのでチェックしてみてください。Kindle Unlimitedは無料期間もたまにあります、いつかはわからないけど。

2024年の年初に亡くなられた山崎元さんの遺作。内容は父から息子への手紙をイメージして、資産運用や生き方のアドバイスをおくるというもの(実際に送られた手紙の内容もあります)。涙なしには読み切れない名作でした。投資における主張はいつもの著者のものと全く同じ。ブレないところが山崎さんの良さですね。ぜひ読んでもらいたい一冊。

かつて日本の長者番付で一位になったサラリーマンとして話題になった清原達郎氏の初めての著書。これまでメディアにほとんど出てこなかった氏の赤裸々な体験談が多数載せられています。内容は初心者向けではありませんが、どこにでも溢れているインデックス投資を勧めるだけの本に飽きた方にはとても面白いはず。かく言う私もその一人(笑)純粋な読み物としてとても面白いです。

これは最近複数の視聴者さんに紹介してもらって購入した本です。主張は題名どおり「余剰資金が出たら即刻インデックス投資せよ」というもので、僕も思想とほぼ一致しています。また、前半部分では「節約には限界がある」「収入を増やす努力をしよう」という主張もされていて、その辺も共感できる部分は多いです。とてもいい本だと感じましたので、よかったら手にとってみるとよいかと思います。

これは最近視聴者さんに教えてもらった本です。株式投資や資産運用の考え方を学ぶのに、とても素晴らしい名著だと思いました。著者はインデックス投資にも精通していることが伺える一方で、各個人の資産運用は人としての合理性も考慮すべきと説いてます。株式投資のリターンは「リスク(値動き)の対価」をわかりやすい例も含めて明示してくれていて、投資初心者の方にぜひ読んでみてもらいたい本ですね。

これは僕が最近読んでよかったと思ってる本です。マクロ経済における金利の重要性を懇切丁寧に説明してくれています。金利が経済の基本であることを再認識させられました。初心者でも読みやすいように書かれていて、とくに予備知識は必要ありません。投資タイミングに活かせるかと言えばそこは同意しかねますが、金利による経済の定性的な動きを理解するのはこれで十分と思いました。

米国の著名投資家ハワード・マークス氏の著書で、彼の著書はなんとあのウォーレン・バフェットのお気に入りらしいw バークシャー・ハサウェイの株主総会でこの本を配ったというウワサも残っています。ハワード・マークス氏自体はインデックス投資にも一目を置くアクティブ投資家で、市場平均に勝つのは難しいと認めつつもどうすれば勝てるか?を色々とアドバイスしてくれる本です。

僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。

上記の本に加えてもう少しファイナンスを詳しく知りたい方向けにおすすめです。CAPMの考え方やそれをもう一歩発展させた3ファクターモデルのことも理解できます。ほかにもプライシング理論やリスク管理などの基礎知識もこれで十分わかるかと。

インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。

インデックス投資の父でありVanguard創業者のBogle氏の名著です。僕が最も尊敬する偉人でもあります。その先見性と残された功績には尊敬の念しかありません。内容はインデックス投資のベーシックな内容ですが、後半には債券との組み合わせ論などにも言及されています。全部が全部同意見というわけではありませんが、インデックス投資を志す者であれば必読書とも言ってよいかと。

ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。

本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。

この本は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。

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