“株は下落したら回復しにくい”はウソ!複利を理解してないだけ

資産形成&節約
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みなさん、米国株が冴えない動きをしている中いかがお過ごしでしょうか?僕はさっさと回復してほしいな〜とは思いつつも、現実的には数年戻らないだろうなとは感じています。生殺しのような状態です。

こうした相場が続くとやたらと暴落をあおってくる輩が湧きますから困ったものです。彼らが意見を述べるのは別に自由にやればいいのですが、許せないのは”誤った理解で恐怖をあおる”行為ですよね。恐怖もあおって誤情報を吹き込む、誰も幸せにならない発信ではないでしょうか?

そんな中でも巷で見かけるのが「株はいちど下がったら上がりにくい」という説です。たとえば、銀行のような大手の記事でも堂々とこんなことが述べられたりしています。

値下がり幅を抑えるために分散投資を徹底

最近は分散投資をしていても「下がるときには一緒に下がるではないか」という声もきかれます。たしかに、暴落時などは地域や資産を分散しても同じ方向に動くことが多くなりました。けれど、1つの会社や1つの国に集中投資をするのに比べたら、値下がり幅は限定的です。この「なるべく下がらない」ということは非常に大切で、その後に相場が回復したときに元本を回復できるかどうかのカギを握っています。
たとえば、投資していた100万円が暴落によって50%下落し、半分の50万円に減ったとしましょう。このあと、値下がり幅と同じ50%上昇してもお金は75万円にしかなりません。100%上昇(=2倍)にならないと100万円には戻らないのです

この執筆者は株価が半分(-50%)になったら戻るのに2倍(+100%)かかるから大変だ、と主張しています。果たしてこれは本当でしょうか?これが事実なら、株価が上がるのは相当大変です。今まで200年以上株価が上がってきたのはどう説明するつもりでしょうか?

Stocks For The Long Runより引用。ほんとに回復が大変なら株が100年以上上がり続けるわけないよね

これは当然ながら誤解なのですが、残念ながらこのような誤った記事や情報も氾濫しているために、誤解したままの個人投資家も多く見受けます。そしてこの記事のように専門家がお墨付きを付けて誤解をばらまいていますから、それを暴落あおりに使うカスも湧くのです。この負の連鎖はなんとしても止めねばなりません。

ということで、今回は「株は下がったら上がりにくい」という誤解を解くのをテーマにしたいと思います。この記事がこれから投資を始める方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。

もう少し詳しい情報はYouTubeを見てね!

株価は戻りにくい派の説明とは?

これは前述のとおりですが、もう一度確認しておきましょう。彼らの主張は例えば半分になったら-50%、それを戻すには逆数をとって+100%になる。戻るほうが大変でしょ?というもの。

ぱっと見は筋が通ってそうに思えるかもしれません。しかし、この前提には大事な考えが抜けています。それは”複利”の考え方です。

複利と聞くと投資をやってる人はだいたいわかっているはずです。けれども深いところまでは理解できていないと、こうした勘違いが生まれます。上記の前提は元金が固定されているのを前提としていて、単利で考察されているのです。一方の複利の最大の特徴であるだんだん元金が増えいく(減っていく)のを考慮できていないんですよね。端的に言えば結論はそれだけ。でも、これを述べるだけだとイメージがきっと湧かないですよね〜。

何が間違っているのか?

言葉や式で言われてもイメージがつかないでしょうから、まずはグラフで見てみましょう。上はちょっと強調して1年後に5倍、1/5倍になるものを単利と複利で表現したものです。単利は掛け算1回だけですから、直線で結んだようなイメージになりますが、複利は全然動きが違います。

たとえば上昇局面では複利は元金も増えていくので、爆発的に増えていってるのがわかりますよね?逆に下落局面では元金が減っていってブレーキがかかっている様子がわかるかと思います。なので、単利で考える場合に比べて上昇する力は少なくていいし、下落する力は大きくないと整合がとれません。ここの勘違いがそのまま「株は下落より回復が大変」という誤解につながっています。

複利回数を振って考えてみよう

n回複利の式は上記のように表されます。この式が半分になる場合と2倍になる場合について、それぞれnを決めればxを求めることができますよね。式展開はめんどくさいのでやりませんが。

実際に解いた値が上図の表になります。1/2と2倍を見比べると、nが大きくなればなるほどプラスマイナス逆の同じ値に近づいているのがわかりますよね?たとえば250という数字は1年の期間に対する株式市場の営業日をイメージした数値です。1日が単利で動いたとして、1年後に半分になるのと2倍になるのは同じ数値 ±0.69/250 で到達できるということを意味しています。ほら?下落と回復はフェアだというのが理解できましたよね?

もっと実際の世界に近づけよう

実際には株価は1日単位ではなくて、凄く細かい時間で値動きをしています。1secごとにも株価は動きますし、最近のアルゴリズム取引ではmsec(1/1000秒)単位で取引をすることもあるというくらいです。つまり、先程の式の複利計算の回数nを無限にデカくすれば、より現実世界に近づくということ。

その極限をとると、高校数学で出てくる自然対数の底(e)が出てきます。ほんと不思議だよね〜、この数字。こんなに綺麗な形になるなんて、ちょっと感動です。

この自然対数の底は扱いやすいので重宝します。例えば、株価が1/2、2倍になったときのxも両辺で対数をとれば簡単に求められますよね。当然、対数は分母分子がひっくり返るとマイナスになる性質がありますから、冒頭の議題はプラスマイナス逆の絶対値が同じx=0.69が導かれます。当然ながら1/2と2倍の時のみならず、あらゆる下落と回復は分母分子逆で表現されますから、全ての場合に対してプラスマイナス逆の数値になるわけです。なんだ、やっぱり株は下落と回復はフェアじゃないか

ほんとうに株は複利で動いているのか?

「株価は対数をとると直線的になる」とはよく聞きませんか?実際に対数軸でグラフを描く人も沢山います。実はこれが株が複利で動いていることを示唆する結果なんです。

先程までの連続複利の関係を使うと、上図のように株価が表現されます。両辺の対数をとれば1次関数で表されてますよね?(tは時間軸、年数とか)。実際のS&P500も直線っぽい動きをしています。やはり、株価は複利で動いているとみて間違いなさそうです。

つまりは冒頭の「株は下がったら回復しにくい」はウソであり、誤情報なのだと言えます。

結論:下落を過度に怖がる必要はない!

結局何が言いたかったかと言うと、下落相場を過度に怖がる必要はないよ、ということです。その「過度に怖がる」原因が誤情報だったら、最強に不幸じゃないですか?まずは下落すると回復しにくいという誤解を解いた上で、株価下落に対して向き合ってほしいなと思うのです。

FRBは今後インフレ退治のために金利を高く維持すると宣言しました。暫くの間、株が元気に上がっていくことはなさそうに思われます。そんな時にも市場の動きにとらわれず、淡々と投資額を増やしていくのがインデックス長期投資の戦略です。ちょっとした下落に過度に反応していてはいけません。当然リスク許容オーバーはいけませんが、暴落あおりと誤情報にだけは惑わされないようにしていただきたいですね。

もう少し詳しい説明はYouTubeも見てね!

おまけ:資産運用おすすめ書籍

僕はほとんど読書をしません。そんな僕でもスラスラ読めちゃう良い本ばかり。どれもいいこと書いてあります。

以下の中にはKindle Unlimited(月々980円 読み放題)のサービスで利用できるものもありますのでチェックしてみてください。Kindle Unlimitedは無料期間もたまにあります、いつかはわからないけど。

僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。

インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。

インデックス投資の父でありVanguard創業者のBogle氏の名著です。僕が最も尊敬する偉人でもあります。その先見性と残された功績には尊敬の念しかありません。内容はインデックス投資のベーシックな内容ですが、後半には債券との組み合わせ論などにも言及されています。全部が全部同意見というわけではありませんが、インデックス投資を志す者であれば必読書とも言ってよいかと。

ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。

本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。

この2冊は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。

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