米国株は10年後にどうなるか?Vanguard社の予想を見てみよう

資産形成&節約
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みなさん、資産運用結果が10年後にどうなっているか考えたことはありますか?僕はあまり考えたことないです。いくら考えたところで未来のことはわかりませんから。時間のムダだと思うので。

そして巷にはたくさんの発信者さんがあれやこれやと予想を述べていますよね。正直、個人でできることには限界があるので、それらの予想なぞ競馬予想のレベルと何一つ変わりません

であれば、せめて信頼のおける機関のちゃんとした予想を見てみたいものです。ということで、今回は僕が最も好きで尊敬する投資会社「Vanguard」社のレポートを元に、同社がどのように予想しているかを見ていきたいと思います。

※Vanguardは世界初のインデックス商品を生み出した会社です。徹底的に投資家の利益を追求していて、その姿勢は商品の圧倒的低コストに現れています。そんな姿勢がぼくは好きです。

もう少し詳しいのはYouTubeで見てね!

どんな手法で予想をしているのか?

結果を見る前に確認しておくべきことがあります。それは彼らがどんな手法で予測をしているのか?です。もし”当社の有能なマネージャーの見解etc”であれば、もはや競馬予想と変わりありません。それらが猿のダーツ投げと同レベルだと言われているのは、過去のランダムウォーク理論で言われ続けたことですから。

文書を確認するに、彼らはVanguard Capital Markets Modelと呼ばれる数理モデルを使って計算しているとのことです。別文書を調べてみたら、それらは「過去の経済・金融データから影響するものを種々モデルに組み込んで作ったもの」とあります。これはどういう意味でしょうか?

ここからは想像です。上図は金融工学で一般的に使われる幾何ブラウン運動モデルの式です。これは次の株価が時間に比例する成分と、ランダムに動く成分の足し算で表されるというだけの超単純なモデルと言っていいでしょう。言い換えれば、簡単に扱うためによくわからない項目は全てランダム項にぶちこんだとも言えます。

おそらくVCCMはこんな単純なモデルではなく、色々なマクロ経済指標を足し合わせてモデルを作っているのだと思います。もちろんそこにはランダム要素がひとつだけではないでしょう。まあモデル自体は企業秘密なので想像でしか語れませんが、素人がマネしようとも無理なことをやっているのは間違いないと思います。

Vanguardは米国よりも他の国が成長すると見ている

では結果を見ていきましょう。

上図はVanguardの予想のダイジェストです。米国株は4.1%-6.1%の成長を予想していて、特にグロース株は1.6%-3.6%と低調な伸びと見ています。一方で米国を除く世界は6.6%-8.6%、米国を除く先進国は6.5%-8.5%と高い成長を予想しているようです。ここ最近の米国株は好調すぎるから平均に回帰すると言っているかのよう。

ついでにリターン/リスク を計算したものを右に追記してあります。これを正として見るなら、Vanguardは米国除く先進国に投じるのがいいのでは?と提言しているようですね。

米国の成長を厳しく見積もっている理由としては、上記の記載がありました。色々と述べてますが、Vanguardは2年以内には失業率が上昇する本格的なリセッションがきそうと見ているみたいです。

だからと言ってタイミング投資はやめとけ、という助言

“リセッションが近いうちにきそうだ”とVanguardは警告しているものの、一方でタイミング投資は困難との見解も示しています。上図はS&P500の年間騰落率とリセッションの時期を示したものです。彼らはこの図から「株価の下落はリセッションより前に始まることが多いし、株価の底もリセッション脱出前になることがしばしばだ」と述べています。つまりはリセッションに目を向けても株価の下落や底を当てることは困難だよ、とアドバイスしてくれているわけです。

ここに明言はされていませんが、創業者Bogle氏の「インデックスを買って永遠にもっていればいい」ということを言っているかのように聞こえます。さすが俺たちのVanguard!

もし米国以外の株を買うとしたら?

世の中には色々な人がいるもので、米国以外の株式インデックスに連動する商品も用意されています。例えば上のようなものが日本からでも買えるみたい。Vanguard社から準備されていますね。VEUとVXUSは一見違いがわかりませんが、VEUは大型株中心、VXUSは小型株まで分散投資しているものらいいです。まあVOOとVTIの違いみたいなもので、大差ないでしょう。

それぞれどんな構成銘柄になっているかもついでにチェックしてみます。

まずはVOOとVTを振り返る

まずは皆大好きS&P500とオールカントリーの比較から。というか、上位10社まで一緒ですw 14位にやっとネスレが出てくるというレベル。オールカントリーの大部分が米国とよく言われますが、こうして見ると想像以上に米国が占めているのがわかります。

VTの6割は米国株です

これが全世界への時価総額加重平均の結果ですが、では米国を抜くとどんな感じになるのでしょうか?

VEU(米国除く全世界)

VEU構成銘柄の上位10位をもってきました。さすがに上記は聞いたことある企業が多いですが、先程のVTとは全く顔ぶれが異なりますね。我らがトヨタ自動車も9位にランクインしています。

結局はどれも巨大企業ばかりで、見た感じ悪くないな〜とは思いました。直感だけどね。

VEA(米国除く先進国)

続いてVEAの構成銘柄です。VEUと似てはいますが、ちょこちょこ違うところがありますね。例えばTSMCが入ってなかったり、なぜかこちらにはサムスン電子が入ってたりしています。なんでサムスン電子はVEUに入ってないんでしょうね?よくわかりません。

まあ言えることはVEAとVEUは似たような構成銘柄だと言うこと。

ここ14年のパフォーマンスを比較してみよう

あまり過去のパフォーマンスを参考にしすぎることはよくないのですが、気になるものは気になるので見てみることにします。結果はこんな感じ。

データは長くとれるだけとってリーマン前からプロットしてみました。SPYはS&P500 ETFです。

VEUとVEAは衝撃のマイナス成長・・・orz。14年投資してきてマイナスはちょっと凹みますよね。まあ分配金分はあるんだろうけどさ。これとVTとSPYを比較すると、この14年で成長してきたのは米国だけなんじゃないか?と思われても仕方ありません。

なおVEUとVEAを比較するとほぼ同じ挙動です。米国除くと他の先進国に時価総額が集中する、というのは当然の結果なのでしょう。

過去を参考にするのはよくない、と繰り返し念じてはみるものの、これらVEU&VEAに手を出す勇気は湧かないです。あのVanguardの予想結果とは言え、投資戦略としてはやはりCAPMに準じて時価総額加重平均をとるのが良さそうに思えます。なので、Vanguardの予想を組み入れるとして、VTあたりが落とし所ではないでしょうか?

結論:気になるならVT(オルカン)を買っていくのもいいかもしれない

インデックス投資の基本は「時価総額加重平均で分散させること」です。今回のVanguardの予想はその時価総額最大の米国を除く地域が成長するというものでした。なかなか攻めた意見ですよね。

僕がこの意見を取り入れるとしたら、今買っているS&P500ではなくVTやオルカンを買っていくくらいが落とし所かなと思います。過去のデータはやはりCAPMは正しいと言っているように見えなくもないからです。過去は過去だけどさ。

ぼく自身は確定拠出年金で外国株インデックスを少しだけ保有しています。なので改めてVTやオルカンを買うことはせずに、これらを保有し続けることで世界の成長をいただくようにする作戦です。なので、僕が買うのはこれからもブレずにS&P500で行きたいと思います!

もう少し詳しいのはYouTubeで見てね!

おまけ:資産運用おすすめ書籍

僕が実際に読んで「ほんとうに良い本だなぁ〜」としみじみ感じた名著をご紹介します。どれもめちゃくちゃ良い本ばかり。インデックス投資を始めたての方におすすめです。

以下の中にはKindle Unlimited(月々980円 読み放題)のサービスで利用できるものもありますのでチェックしてみてください。Kindle Unlimitedは無料期間もたまにあります、いつかはわからないけど。

2024年の年初に亡くなられた山崎元さんの遺作。内容は父から息子への手紙をイメージして、資産運用や生き方のアドバイスをおくるというもの(実際に送られた手紙の内容もあります)。涙なしには読み切れない名作でした。投資における主張はいつもの著者のものと全く同じ。ブレないところが山崎さんの良さですね。ぜひ読んでもらいたい一冊。

かつて日本の長者番付で一位になったサラリーマンとして話題になった清原達郎氏の初めての著書。これまでメディアにほとんど出てこなかった氏の赤裸々な体験談が多数載せられています。内容は初心者向けではありませんが、どこにでも溢れているインデックス投資を勧めるだけの本に飽きた方にはとても面白いはず。かく言う私もその一人(笑)純粋な読み物としてとても面白いです。

これは最近複数の視聴者さんに紹介してもらって購入した本です。主張は題名どおり「余剰資金が出たら即刻インデックス投資せよ」というもので、僕も思想とほぼ一致しています。また、前半部分では「節約には限界がある」「収入を増やす努力をしよう」という主張もされていて、その辺も共感できる部分は多いです。とてもいい本だと感じましたので、よかったら手にとってみるとよいかと思います。

これは最近視聴者さんに教えてもらった本です。株式投資や資産運用の考え方を学ぶのに、とても素晴らしい名著だと思いました。著者はインデックス投資にも精通していることが伺える一方で、各個人の資産運用は人としての合理性も考慮すべきと説いてます。株式投資のリターンは「リスク(値動き)の対価」をわかりやすい例も含めて明示してくれていて、投資初心者の方にぜひ読んでみてもらいたい本ですね。

これは僕が最近読んでよかったと思ってる本です。マクロ経済における金利の重要性を懇切丁寧に説明してくれています。金利が経済の基本であることを再認識させられました。初心者でも読みやすいように書かれていて、とくに予備知識は必要ありません。投資タイミングに活かせるかと言えばそこは同意しかねますが、金利による経済の定性的な動きを理解するのはこれで十分と思いました。

米国の著名投資家ハワード・マークス氏の著書で、彼の著書はなんとあのウォーレン・バフェットのお気に入りらしいw バークシャー・ハサウェイの株主総会でこの本を配ったというウワサも残っています。ハワード・マークス氏自体はインデックス投資にも一目を置くアクティブ投資家で、市場平均に勝つのは難しいと認めつつもどうすれば勝てるか?を色々とアドバイスしてくれる本です。

僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。

上記の本に加えてもう少しファイナンスを詳しく知りたい方向けにおすすめです。CAPMの考え方やそれをもう一歩発展させた3ファクターモデルのことも理解できます。ほかにもプライシング理論やリスク管理などの基礎知識もこれで十分わかるかと。

インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。

インデックス投資の父でありVanguard創業者のBogle氏の名著です。僕が最も尊敬する偉人でもあります。その先見性と残された功績には尊敬の念しかありません。内容はインデックス投資のベーシックな内容ですが、後半には債券との組み合わせ論などにも言及されています。全部が全部同意見というわけではありませんが、インデックス投資を志す者であれば必読書とも言ってよいかと。

ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。

本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。

この本は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。

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