みなさん、資産運用状況はいかがでしょうか?この5月に入ってからは「Sell in May」と言われるジンクスそのもののように株価は下落していて、気が滅入ってしまいますね。S&P500はこの1ヶ月で8.4%も下げています。もう証券口座を見るのはしばらくやめましょうw
まあ株価の下落は置いておいて、昨今のもうひとつの話題は円安です。米国の引締め強化に呼応して、円安がずんずんと進行しております。年初からだとすでに12%も円安です。S&P500の平均年成長率が7〜8%と言われている中からすると、すごく大きな変動ですよね。
この情勢を受けて注目されているのが「為替ヘッジあり」の商品です。端的に言うと為替変動がないように調整してくれる投資信託のこと。今が円安だからこれからは円高になりそう、そう思っている方が多いようです。
実はこの為替ヘッジ商品、ぼくが知っている以上に思いもよらぬ性質がありました(※ぼくが無知なだけという説もありますが)。今回は僕が為替ヘッジについて今回調べたことについてみなさんとシェアしたいと思います。この記事がこれから投資を始める方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。
為替ヘッジありってなに?
ここで前提として一般的なS&P500などの米国株インデックス連動商品の特性について振り返っておきましょう。
有名な国内の商品(1557、1655、eMAXIS Slim S&P500)などは、すべて為替ヘッジ無しと呼ばれる商品です。買付した時点から円安に推移すれば儲かるし、逆に円高に推移すれば損します。ちょうどドルで資産を保有しているようなイメージです。
一方の為替ヘッジあり商品は、先物取引を利用してその為替変動の動きをキャンセルするように設計された投資商品です。為替の動きがキャンセルされていますから、あたかも円通貨でS&P500指数そのものを買っているかのような動きになります。
上に国内S&P500連動ETFのうち為替ヘッジありの商品を並べてみました。国内ETFだけでも3種類もあります。信託報酬も安く、ラインナップとしては充実していると言っていいでしょう。ただ歴史は浅く、5年前にはどの商品も存在していませんでした。
為替ヘッジの要注意ポイント
みなさんは「為替ヘッジコスト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?僕もこのワード自体は知っていました。ただ、”コスト”と呼ばれているだけあって、手数料のようなものなのかな〜と思っていたら、実態は全くの別物のようです。
為替ヘッジコストとは、たとえば米ドルの金利が日本の金利より高い場合に、その差分の利回り分だけ損をすることを指します。一方で、逆に米ドルよりも日本の金利が高い場合は為替ヘッジプレミアムと呼ばれ、儲かるようになるのです。なので、コストと呼ばれていますが、実態は”金利差リスク”と呼んだほうが適切ではないか?とも思います。コストコストって言うから誤解してたじゃないか!となるからですw
つまりは為替ヘッジありは通貨の差を完全に埋めるものではないという理解が必要です。上の図のように、為替ヘッジあり/なしはちょうど表裏の関係にあるということ。為替変動を喰らうか、金利差を喰らうか?どちらか二者択一だというわけです。
どれくらいの影響があるか計算してみよう
ここまでくると気になるのが、どれくらいの影響があったか?でしょう。過去のデータを元に、金利差リスクで結果が大小どう動いたかを調べてみます。期間はデータがある最長の期間 1990年〜2022年までをとりました。便宜上、計算を簡単にするために短期金利の差を値動きに反映するだけのシンプルなものにしています。
まずはS&P500です。元の指数に対する為替ヘッジありの動きをプロットしています。想像以上に驚くべき結果だったのですが、32年間で約半減していました。つまりは1990年よりも2022年が2倍円高になっていないと損をしていた、というわけです。うーん、これは厳しい結果だな・・・。
同じくNASDAQ100の結果は上のようなものです。当然ながら通貨の影響が出ているだけなので、銘柄ごとに影響の差はありません。どちらも半減しています。
レバナス(と一般的に呼ばれる商品たち)は少し特殊で、ファンドの証拠金部分にのみヘッジコストがかかる性質をもっています(と視聴者さんに教えてもらいました)。証拠金部分を詳細に知ることはできませんが、30%〜50%で推移するようなので、ざっくり40%と置いて試算しています。すると当然影響は軽減されていますが、依然として大きめのマイナスであることは事実です。
どうして為替ヘッジありは厳しい結果になったのか?
想像以上に為替ヘッジありに厳しい結果になりましたが、その結果を分析すると理由は驚くほどにシンプルで納得感があります。
1つ目は日本と米国の金利差です。1990年から現在に至るまで、ほとんどの期間で米国の方が金利が高かったために、為替ヘッジありはずっと金を吸い上げられていました。日本が高かったのはバブル時期だけですね。これからもおそらくこの傾向は続くものと予想されます。日本の金利が上がる未来は・・・想像できません。
もうひとつは為替リスクと金利リスクの”効き方の違い”です。
為替リスクが影響を及ぼすのは買った時と売った時の1回こっきりです。その2つの時点だけを比べて円安か円高かで影響が決まります。
一方で金利リスクは複利的に効いてきます。金利差がずっと存在し続ければ、どちらか一方のリスクが時間が経過すればするほど大きくなっていくのです。もちろん複利の効果はみなさんご存知のとおり絶大です。ずっと日本金利 < 米国金利 だったこと、32年という長期で計算したことも相まって、半減という大きな影響で現れてしまいました。
ぼくは為替は気にせずヘッジ無しを買いたい
以下は僕の個人的な意見ですが、為替が気になってしまう方はまだまだ目線が短期的なんだと思います。下の図のように長期で見れば為替変動が株価変動に対してずっと小さいのは明白です。
それなのに「為替変動で損益が逆転するのでは・・・?」という発想をしてしまうのは、目線が短期的だと言う証拠です。目先の為替変動にとらわれて、もっと大きな影響である金利差を見ていなければ、それは本末転倒な結果に結びつきます。木を見て森を見ず・・・そんな感じでしょうか?
運用スタイルにもよりますが、長期運用を志すのであれば、こんなちょっとの変動に気を取られる必要はないと思います。何があっても変わらず積み立てていく実行力こそが重要でしょう。
結論:長期投資であれば為替ヘッジありはやめといたほうがいいと思う
昨今の為替変動は大きくそれにビビって為替ヘッジありに飛びつきたくなる気持ちはわかります。そうでもしないと行動できないのであればいいと思いますが、冷静になって考えれば長期においては 為替リスク << 金利差リスク なのは明白です。日本の金利がぶち上がっていくと予想するなら別ですが、さすがにそんな予想をする人はいないと思います。
なので、僕は為替変動には目もくれず、ヘッジ無しをコツコツと積み立てを継続するつもりです。望むらくは為替ヘッジなしのレバナスの登場ですね。これさえ揃えば、もうあとは何も考えることがなくなるのですが・・・なんとか買えるようにしてくれませんかね?楽天証券さん。
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投資を学ぶなら:資産運用ですごく勉強になる書籍
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以下の中にはKindle Unlimited(月々980円 読み放題、初めてだと30日無料キャンペーンもある)のサービスで利用できるものもありますのでチェックしてみてください。
この本は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。僕と同じく、初めて投資書籍を読まれる方にはこの本を最初にオススメします。
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インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。インデックス投資家の教養として読むべき本です。
これは僕が最近読んでよかったと思ってる本です。マクロ経済における金利の重要性を懇切丁寧に説明してくれています。金利が経済の基本であることを再認識させられました。初心者でも読みやすいように書かれていて、とくに予備知識は必要ありません。投資タイミングに活かせるかと言えばそこは同意しかねますが、金利による経済の定性的な動きを理解するのはこれで十分と思いました。
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これは最近複数の視聴者さんに紹介してもらって購入した本です。主張は題名どおり「余剰資金が出たら即刻インデックス投資せよ」というもので、僕も思想とほぼ一致しています。また、前半部分では「節約には限界がある」「収入を増やす努力をしよう」という主張もされていて、その辺も共感できる部分は多いです。とてもいい本だと感じましたので、よかったら手にとってみるとよいかと思います。
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2024年の年初に亡くなられた山崎元さんの遺作。内容は父から息子への手紙をイメージして、資産運用や生き方のアドバイスをおくるというもの(実際に送られた手紙の内容もあります)。涙なしには読み切れない名作でした。投資における主張はいつもの著者のものと全く同じ。ブレないところが山崎さんの良さですね。ぜひ読んでもらいたい一冊。
米国の著名投資家ハワード・マークス氏の著書で、彼の著書はなんとあのウォーレン・バフェットのお気に入りらしいw バークシャー・ハサウェイの株主総会でこの本を配ったというウワサも残っています。ハワード・マークス氏自体はインデックス投資にも一目を置くアクティブ投資家で、市場平均に勝つのは難しいと認めつつもどうすれば勝てるか?を色々とアドバイスしてくれる本です。
僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。
上記の本に加えてもう少しファイナンスを詳しく知りたい方向けにおすすめです。CAPMの考え方やそれをもう一歩発展させた3ファクターモデルのことも理解できます。ほかにもプライシング理論やリスク管理などの基礎知識もこれで十分わかるかと。
インデックス投資の父でありVanguard創業者のBogle氏の名著です。僕が最も尊敬する偉人でもあります。その先見性と残された功績には尊敬の念しかありません。内容はインデックス投資のベーシックな内容ですが、後半には債券との組み合わせ論などにも言及されています。全部が全部同意見というわけではありませんが、インデックス投資を志す者であれば必読書とも言ってよいかと。
ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。
本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。
かつて日本の長者番付で一位になったサラリーマンとして話題になった清原達郎氏の初めての著書。これまでメディアにほとんど出てこなかった氏の赤裸々な体験談が多数載せられています。内容は初心者向けではありませんが、どこにでも溢れているインデックス投資を勧めるだけの本に飽きた方にはとても面白いはず。かく言う私もその一人(笑)純粋な読み物としてとても面白いです。
社会保険料がホットな話題として挙げられることが増えました。本書はその社会保険料の節約として最も有名な「マイクロ法人スキーム」のきっかけになった名著です。いま巷で使われているマイクロ法人という言葉は、この書籍で初めて使われたと言われています。もしマイクロ法人設立に興味があれば、まずは最初のバイブルとして読破しておくべき一冊です。
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