インデックス投資の2大巨頭 S&P500とオルカンを比べてどっちがいいか考えてみた

資産形成&節約
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みなさん、資産運用状況はいかがでしょうか?僕は2021年末まではすこぶる快調に推移していたのですが、例にもれず年初からのプーチン大暴走により大損をくらっています。その状況はこちらの記事からどうぞ。

しかし、何事もポジティブにとらえるインデックス投資家の基本に立ち返れば、今は買い場とも言えるわけです。そしてインデックス投資を始める方にとってはなかなかいいタイミングかもしれません。

そんな初心者の方が最初に迷う銘柄の2大巨頭がS&P500とオールカントリー(通称:オルカン)ではないでしょうか?僕はその両方とも甲乙つけがたいほど好きな銘柄です。

ここではあえてその2つからどちらかを選ぶとしたら?という仮定で分析をしてみました。この記事がこれから投資を始める方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。

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オルカンとS&P500って何?違いは?

まず本題に入る前に、そもそもオルカンとS&P500とはどんなものかを調べておきましょう。

オールカントリー(ここではVTについて述べます)

VT(Vanguard Total World Stock Index Fund ETF)とは時価総額加重平均型インデックスの「FTSE Global All Cap Index」に連動することを目指した投資商品です。このインデックスは全世界約9000銘柄で構成されていて、文字通り地球全体に分散投資していると言えるでしょう。特に現代ポートフォリオ理論に代表される理論派の方々に好まれる銘柄です。

似たようなインデックスにMSCI ACWIというのもあり、それは約3000社に分散投資したものです。違いは小型株にどれだけ投資しているか?だけなので、値動きはほぼ同じと言ってもいいでしょう。

S&P500

S&P500(Standard & Poor’s 500 Stock Index)は米国で時価総額の大きい主要500社で構成する時価総額加重平均型の株価指数を言います。これに連動するように株を購入する商品がS&P500 ETFです。

オルカンとS&P500の違いをイメージしてみよう

https://japan.cnet.com/article/35182623/ より引用

上の表は世界の時価総額ランキングです。オルカン、S&P500ともに時価総額加重平均型ですから、言い換えれば時価総額の大きいものほど沢山買い入れています。つまり、値動きに効くのは時価総額が大きい企業の株価です。

そんな観点で時価総額の大きい企業を世界で見てみると、ほとんどが米国であることがわかると思います。上図の青枠で囲われたところだけに投資しているのがS&P500、というわけです。これを見る限り、S&P500とオルカンの値動きは似たようなものになる可能性が高いのが想像つくでしょう。

eMAXIS Slim 全世界株式の比率を示したのが上の円グラフです。予想どおり米国が6割も占めていて、S&P500との違いは残りの4割ということになります。これが吉と出るか?凶と出るか?ということですね〜。

上図はS&P500 ETFとオルカン(VT)の主要構成銘柄を整理したものです。まず銘柄名に着目すると、両者ほぼ同じでオルカンにTSMCが入ってることだけが違いになります。あとは前述のとおり比率はオルカンが半分くらいになっていて、広く薄く分散投資しているのは事実のようです。

パフォーマンスを比較してみよう

講釈を垂れるのはここまでにして、今までの値動きを調べてみましょう。S&P500(SPY)とオルカン(VT)はどのような挙動の違いが出るでしょうか?予想しながら見ていただくと面白いと思います。

長期でのパフォーマンス差 (2008年1月27日〜22年3月11日)

上のグラフは開始時を100として評価額の推移をグラフにしたものです。時期はリーマンショック直前から最近まで。全体的な値動きは予想どおり似通っていて、逆の動きをするシーンはほとんどありません。

ただ14年間の運用実績差は圧倒的にS&P500が上回っています。かなり似た値動きの上でS&P500が1.7倍も圧倒しているということは、ひとえに米国の伸びが他国よりも大きかったという意味です。特に最近はGAFAMが引っ張ってましたからね。

下落相場での比較:リーマンショック 2008年1月27日〜11年12月31日

分散投資の目的に立ち返ると、それは「リスクの軽減」だったはずです。つまり、オルカンに最も期待することはS&P500よりも下落相場で耐えてくれることでしょう。

そういう目でまずは金融恐慌での暴落シーン(リーマンショック)を調べてみました。すると、この場合はS&P500とオルカンはほとんど同じような落ち方をしているのがわかります。理屈上はオルカンのほうが防御力が高いはずなのですが、みんながパニックになってしまうとあまり関係ないようです。

下落相場での比較:ウクライナ侵攻(2022年1月3日〜2022年3月11日)

金融恐慌のシーンだけを見てもフェアじゃないので、次は地政学リスクでの下落相場を見てみます。どちらかと言えば、オルカンには地政学リスクでの防御力を期待する人が多いのではないでしょうか?

実際の結果を見てみると、リーマンショック時同様でほぼ同じような落ち方をしています。結局、落ちる時はS&P500もオルカンも同じような落ち方をしているようです。

上昇局面ではどうだったか?(2009年3月10日〜22年3月11日)

リーマンショック後からの上昇局面だけ切り出した結果がこちらです。前述の結果から想像できるとおり、オルカンよりもS&P500がかなりいいパフォーマンスを見てつけています。そしてさらに上をいくのがNASDAQ100です。

このような上昇局面では分散度が低い銘柄を引当てれば、それだけ大きなリターンが得られる傾向にあるということです。ハイリスク・ハイリターンのハイリターンだけが表面化しやすいんですね。この13年は特に米国GAFAMが市場を引っ張ったので、その濃度が高いNASDAQ100がすごく伸びてるわけです。ということは、個別でGAFAMを買っていればもっと伸びていた、そういうこと。要するに結果論です

インデックス商品のイメージ(プロットはテキトーです)

上図は僕のインデックス商品のイメージをテキトーに描いたものです。一般的には分散させればさせるほどリスクとリターンは減少していく傾向にあります(※現代ポートフォリオ理論ではシャープレシオも上がる傾向)。一方で上昇局面で引っ張る部分を当てられれば、分散度合いを減らしたほうがリターンは大きくなるのです。それがS&P500とオルカンのパフォーマンス差だと考えます。この10数年は米国が引っ張ってきた、というだけ。

実際にインデックス商品を選ぶ際は、自分の考え方にマッチした分散度合いを適切に選ぶことが重要です。これらの商品はどれかがベストというものではありません。投資家の考え方次第で何が最良かは変わるのです。僕はS&P500が好き。

実際に買える銘柄は?

上の表は代表的なS&P500とオールカントリーの商品を並べたものです。投資スタイルによって、国内ETF、米国ETF、投資信託の好きなもので見てみてください。

見比べると銘柄数は圧倒的にS&P500のほうが多く、おそらく国内での人気はS&P500の方があるものと思われます。一方で信託報酬を比較すると、ほぼ互角と言っていい感じです。一般的に選択肢が多いほどコスト競争が激しくなるのですが、オルカンはS&P500に負けていません。

リターンは前述のとおりS&P500のほうが優れていそうです。あくまで過去の結果ですが。将来はわかりませんよ?

余談:オルカンのロシア比率は?

eMAXIS Slim 全世界株式のデータを読み解くと、ロシアは新興国の”その他4.6%”のうちの1カ国に過ぎないことがわかります。これが0になったところで、全体への影響は軽微でしょう。ロシアって経済的には規模が大きくないんですよね。

ちなみに国内ETFには1324 Nomura NF Russia RTS Linked ETF というロシアの株価指数連動ETFがあるのですが、それは年初来で44.3%も下落しています。これはまさしく暴落ですね・・・S&P500が暴落したと言われておりますが、まだ10%程度です。ほんとうの地獄はこれからなのかな?わかりません

結論:どちらも優れた商品だけど、僕はS&P500が好き

あくまで過去の値動きに対しての意見ですが、オルカンはS&P500に比して上がるときは鈍く下がる時は同じ、という挙動をしていました。それは下落の要因が金融的な理由であっても、地政学的な理由であっても同じです。それであればオルカンまでの分散度合いは今のところ僕には必要ないかな、と思っています。

実際、ぼくは過去に1554という日本除く全世界株式をそれなりに保有していて、S&P500と比べてパフォーマンスが悪くて早々にやめたことがあります。ここまでの実績を見ると、その判断は間違ってはいなかったようです。ただし、この先でアメリカだけ爆死する将来があれば、痛い目に遭いそうですが・・・。

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おまけ:資産運用おすすめ書籍

僕が実際に読んで「ほんとうに良い本だなぁ〜」としみじみ感じた名著をご紹介します。どれもめちゃくちゃ良い本ばかり。インデックス投資を始めたての方におすすめです。

以下の中にはKindle Unlimited(月々980円 読み放題)のサービスで利用できるものもありますのでチェックしてみてください。Kindle Unlimitedは無料期間もたまにあります、いつかはわからないけど。

2024年の年初に亡くなられた山崎元さんの遺作。内容は父から息子への手紙をイメージして、資産運用や生き方のアドバイスをおくるというもの(実際に送られた手紙の内容もあります)。涙なしには読み切れない名作でした。投資における主張はいつもの著者のものと全く同じ。ブレないところが山崎さんの良さですね。ぜひ読んでもらいたい一冊。

かつて日本の長者番付で一位になったサラリーマンとして話題になった清原達郎氏の初めての著書。これまでメディアにほとんど出てこなかった氏の赤裸々な体験談が多数載せられています。内容は初心者向けではありませんが、どこにでも溢れているインデックス投資を勧めるだけの本に飽きた方にはとても面白いはず。かく言う私もその一人(笑)純粋な読み物としてとても面白いです。

これは最近複数の視聴者さんに紹介してもらって購入した本です。主張は題名どおり「余剰資金が出たら即刻インデックス投資せよ」というもので、僕も思想とほぼ一致しています。また、前半部分では「節約には限界がある」「収入を増やす努力をしよう」という主張もされていて、その辺も共感できる部分は多いです。とてもいい本だと感じましたので、よかったら手にとってみるとよいかと思います。

これは最近視聴者さんに教えてもらった本です。株式投資や資産運用の考え方を学ぶのに、とても素晴らしい名著だと思いました。著者はインデックス投資にも精通していることが伺える一方で、各個人の資産運用は人としての合理性も考慮すべきと説いてます。株式投資のリターンは「リスク(値動き)の対価」をわかりやすい例も含めて明示してくれていて、投資初心者の方にぜひ読んでみてもらいたい本ですね。

これは僕が最近読んでよかったと思ってる本です。マクロ経済における金利の重要性を懇切丁寧に説明してくれています。金利が経済の基本であることを再認識させられました。初心者でも読みやすいように書かれていて、とくに予備知識は必要ありません。投資タイミングに活かせるかと言えばそこは同意しかねますが、金利による経済の定性的な動きを理解するのはこれで十分と思いました。

米国の著名投資家ハワード・マークス氏の著書で、彼の著書はなんとあのウォーレン・バフェットのお気に入りらしいw バークシャー・ハサウェイの株主総会でこの本を配ったというウワサも残っています。ハワード・マークス氏自体はインデックス投資にも一目を置くアクティブ投資家で、市場平均に勝つのは難しいと認めつつもどうすれば勝てるか?を色々とアドバイスしてくれる本です。

僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。

上記の本に加えてもう少しファイナンスを詳しく知りたい方向けにおすすめです。CAPMの考え方やそれをもう一歩発展させた3ファクターモデルのことも理解できます。ほかにもプライシング理論やリスク管理などの基礎知識もこれで十分わかるかと。

インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。

インデックス投資の父でありVanguard創業者のBogle氏の名著です。僕が最も尊敬する偉人でもあります。その先見性と残された功績には尊敬の念しかありません。内容はインデックス投資のベーシックな内容ですが、後半には債券との組み合わせ論などにも言及されています。全部が全部同意見というわけではありませんが、インデックス投資を志す者であれば必読書とも言ってよいかと。

ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。

本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。

この本は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。

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