みなさん、不労所得は好きですか?ぼくは大好きです。お小遣い程度にしかもらったことはありませんが、もらえた時の気持ちは何とも言えない高揚感があります。それについて書いた記事はこちらをどうぞ。
一方で極めて合理的な考えに基づくと、配当でもらうよりも勝手に再投資をしてもらってキャピタルゲインでもらったほうが明らかにお得なのも事実です。配当でもらう度に税金をしょっぴかれますし、外国籍だと場合によっては二重課税を食らったりしますからね。それについて書いた記事はこちらをどうぞ。
それでも巷には高配当を推す声が跡を絶ちません。
高配当株に投資して不労所得で豊かになりました!
みたいな発言がTwitterやYouTube上で溢れています。いや、そのお金、普通の株に投資してたらもっと増えてたはずだけど・・・。
自分ではいつもそう感じているのですが不労所得の麻薬によって思考停止しちゃっている方は少なくありません。今回は僕がメインに投資しているS&P500の普通のETFと高配当ETFの挙動を比較して、トータルリターンを考察してみたいと思います。この記事がこれから投資を始めようとしている人の参考になれば、それ以上に嬉しいことはありません。
S&P500 には高配当型ETFというのがある
S&P500連動ETFというのは世の中にたくさんあります。国内だけでも1557や1655など、米国にはSPY、VOOなどよりどりみどりです。
そしてS&P500の中でも高配当企業に的を絞って運営されているETFがあります。それが俗に言う「高配当型ETF」です。特に有名なのがSPYDでしょうか?これはS&P500の中でも配当が高い銘柄80社に絞って投資するETFとのことです。つまりは高配当狙いってことですね。
とどのつまり、高配当かキャピタルゲイン狙いかはSPYDとSPY(普通のS&P500)とを比較すれば結論が出るということです。
SPYとSPYDを比較してみよう
というわけでさっそく複数の視点でSPYとSPYDを比較していきましょう。
長期トータルリターン
正直これが全てかもしれません。結局は配当でもらうかキャピタルゲインでもらうかの論争は「どちらがトクなのか」に帰着します。投資は儲けるためにやることですからね。そりゃキャピタルゲインで利益をもらうのは売却がめんどくさいかもしれませんよ。けれども投資対象がほぼ同じ(S&P500に組み込まれている企業全般)なのに運用益で大きく高配当型が負けていたら、そこまでして高配当を選ぶ人は普通はいないはずです。不労所得の麻薬に侵されていなければですが・・・。
というわけでトータルリターンを見ていきましょう。まずはSPYから(参照)
SPYはこの5年のトータルリターンが18.37%です。すごい数値ですね・・・。やはりS&P500は最強。
一方のSPYDはと言うと・・・(参照)
SPYDは5年トータルリターン8.55%。これでも非常に優秀ですよ?それでも同じような投資対象のSPYに対してはボロ負けです。この時点は僕はつかう気にはなれません。
値動きの傾向
高配当銘柄を信奉する方々の中には
高配当株は値動きが少ないから安心なのよ
と呆けたことを述べる方が少なくありません。ほんとうにそうでしょうか?それを自分で検証して確かめてみたのでしょうか?ぼくは自分で検証するまでは誰にアドバイスされようが信用することはありません。というわけでSPYとSPYDの値動きを比較してみましょう。
青がSPY、黄緑がSPYDの推移を示しています。これを見ると、SPYDはSPYをしょぼくしたような、いわゆる傾向としては同じ値動きをしていて、暴落シーンではその幅もSPYと差がないようです。特にコロナ時暴落シーンでの下げ幅はほぼ同じですね。
しかも右端に着目すると高配当株は伸びていきません。配当に回しているとは言え、どう考えてもその配当で埋められるような差ではないものを見せつけられていると思うのです。これを見ても、高配当ETFを目指して購入されますか?ぼくには高配当に拘る理由がわかりません。
結論:高配当は”不労所得”という麻薬、やっていいことない
以前から述べているように、高配当株に僕は魅力を感じていません。どう考えても得する要素がないからです。あるのは不労所得という蜜の味だけ。たしかに美味しい蜜ではあるんですが・・・だからと言ってそれを主食にしようとは思ってはいけないのではないでしょうかね。
そもそも高配当を出す企業は、その企業の成長性に魅力がない企業です。成長する見込みが薄いから高配当をアピールし、株価を維持しているわけ。S&P500に対して持続的に成長していくことを期待しているのに、そのS&P500の中で”成長しなさそう”な銘柄を集めたのが高配当型です。それはS&P500に投資する目的を見失っています。それも高配当という麻薬のせいで・・・おーこわ。