皆さん、確定拠出年金はやってますか?僕はもちろん満額を常にやり続けています。とってもお得なイメージがありますよね。最近は拠出額が拡大されるというウワサもあり、いろいろと盛り上がってきています。
一方で昨年からはNISA制度が強力になったことも記憶に新しいです。なんといっても年間枠が360万円まで拡大したために、入金余力が追いつかない人も増えたのではないでしょうか。
そうなると議論になってくるのが「NISAとiDeCoはどっちが得なのか?」という話です。多くの方は直感的にiDeCoが得だと思っているかと思います。まあ資金ロックの話は置いといてね。けど実際に確信を持っている方も少ないことでしょう。僕も確信はありませんでした。
それについて実は以前に詳細に検討する動画をつくりました。実際に詳細な計算をEXCEL上に構築して、可能な限りのパラメータを検証できるようにしたものです。よかったらご覧ください。
この動画を作っていろいろとパラメータをいじってみたのですが、不思議に思っていたことが1点ありました。それが「どうやっても所得税率20%以上の人はiDeCoが勝ってしまう」ということです。実際に計算する前は退職金を増やしたり、リターンや掛け金を増やしたりするとNISAが勝つポイントが出るだろうと想像していたんですよね。でもそうはなりませんでした。
その時は自信がないながらも「所得税率20%以上はiDeCoがいいんじゃない」という提案をする動画に仕立てました。以下のようなフローチャートを提案しています。
ただ、ずっとモヤモヤしたものがあって、ここには何か損益分岐点があるという気がしていました。今回はその分岐点が思っていた以上に簡単なカタチで導けた気がしたので、それをご紹介したいと思います。この記事がこれからiDeCoとNISAを検討している方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。
※以下の計算は簡易的なものです。口座管理費用や税金還付までの時間差、投資商品差などは考慮していません。大局的なイメージをつかむ計算と思ってください。
iDeCoとNISAの損得イメージ
上図は額面の給料からiDeCoとNISAに投資した場合を比較したものです。iDeCoの特徴は所得控除でしょう。これは事実上無税で投資金額を積めることを意味します。一方でNISAのメリットは運用額がそのまま総取りになること。入口では所得税住民税が発生しますが、そのあとの運用には税金が生じません。
一方でiDeCoは出口で受取るときに課税されます。受取り方は一時金か年金か(またはそのハイブリッド)を選択できるのですが、まあ多くの人は一時金が得になるでしょう。その場合にはiDeCoが出口で課税されたあとにNISAの評価額を上回れるか?がポイントになってきます。
iDeCoの最悪以下のケース
ここから損益分岐を考えていくわけですが、どう考えてもiDeCoは因子が複雑すぎます。単純には比較できないのは皆さんもご存知のとおりでしょう。
けれども最悪ケース、もしくはそれ以上に悪いケースと割り切れば簡単に計算することができます。そしてそれをNISAと比較したら、iDeCoはそれ以上に悪くなることはありません。そこがひとつの損益分岐とできるわけですね。機械設計でよくある公差設計に近い考え方です。最悪の出来栄え部品を全てそろえても設計どおりに部品が機能する、それをiDeCoの計算にも応用してみようと思いました。
①iDeCo退職所得の最悪ケース
上記は退職所得の計算式です。これを最もややこしくしているのは紛れもなく退職所得控除の計算でしょう。ここでは最悪を想定して、控除を使えないと割り切ります。4年ルールも19年ルールも知らん(笑)そんな上記のような控除を投げ捨てた計算をすればiDeCoにとって最悪ケースになるでしょう。
②iDeCo退職所得税率の最悪ケース
上記は退職所得の所得税率です。基本的には累進課税になっています。本当は上記のように閾値を超えた部分だけ次の税率に進んでいく、そんな計算をするのが正しい計算です(動画内のシミュレーションはそれを考慮してあります)。けれどもそれだとめんどくさいので、ここでは全体に対して45%の税率がかかると仮定します。ちょっと乱暴ですが、これはiDeCoにとっては少なくとも最悪以上の不利な条件になっているはずです。
※イメージとしてはiDeCoを一時金として受取る金額が大きくなるほど退職所得税率45%に近づいてくる感じかな。
最悪以上のiDeCoとNISAを比較する
上記の前提でiDeCoとNISAを比較をしてみましょう。まずはNISAの運用後の金額を以下のように定義します。
これは単純に所得税住民税を引いたお金をn年間複利運用した、というだけのものです。NISAは運用益が非課税ですから、この値が丸々ガッポリ手取り金額になります。
これに対してiDeCoの手取り金額を考えていきましょう。
上記はiDeCoの税引き前の評価額、および最悪以上のiDeCo退職所得にかかる税金を計算したものです。どうやってもiDeCoはこれ以上の税金がかかることはありません。ここからiDeCoの最悪ケースの手取りを計算できます。
そうすると具体的に0.275という数字が浮かび上がってくるではないですか!これをNISAで導いた式と比較してみましょう。
めちゃくちゃキレイに整理できますよね。これが見えたときにちょっと感動しました。
冒頭の動画を作成していたときに思っていた「どうやっても所得税率20%以上でiDeCoが勝ってしまう」は間違っていなかったのでしょう(たぶん)。最悪以上に悪いケースでiDeCoを計算しても、所得税率17.5%以上ならNISAに勝ってしまう結果になるわけですから。
ここで大事なのがリターンも元本(掛け金)も優劣に影響していないところです。全ては所得税率だけで決まっているんですよね。なので本当に損益を細かく議論しないといけなくなるのは所得税率が10%以下の人たちからということになります。制度だけの話をすれば、所得税率20%以上はiDeCoが何やっても勝ちます。
まあ出口の税制で退職所得1/2倍を消されるとダメですけどね。消されたら暴動もんです。
結論:最悪パターンを想定したら簡素な結果を導けた
今回は動画を作る際に自作したシミュレーションをいじりたおして気付いたことを証明してみたくてチャレンジしてみました。想像以上にきれいに解けたので満足しています。まあだいぶ簡略化してるけど、そんなに間違ってはないでしょう。
まあ言い換えれば本当に大事なのは所得税率10%以下のひとの損益分岐かもしれません。とは言え計算してみた感じはほとんどの人は10%ならiDeCo優勢でしょうね。でも確実なことは言えません。また玉虫色の返事になってしまいます。なんかいい方法ないかな?
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