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証券口座パスキーの安全性を高めよ!”物理キー”を本格導入した話

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みなさん、証券口座やその他重要なパスワードはどのように管理していますか?今どきは多くの方がパスワードマネージャーを使用して管理しているかと思います。僕もそのひとり。今はiCloudにパスワードを一元管理しています。

そういう人たちにとって、少しぞわっとなるニュースが先日報道されました。それがこれ。

証券取引で不正疑い、AppleやGoogleアカウント乗っ取りでも発生 – 日本経済新聞
スマートフォンにひも付いたアップルやグーグルのアカウントを乗っ取り、証券口座で不正取引した疑いのある事案が国内で起きたことが24日わかった。日本証券業協会が加盟する証券会社に対し、顧客への注意喚起を求めた。犯罪集団がアップルなどのアカウント…

パスキーログインに設定していた証券口座が乗っ取られた、というニュースです。手法は古典的で、フィッシングによってiCloudやGoogleアカウントを狙うんだとか。パスキーは固いから、その鍵保管庫ごと乗っ取る、という作戦なわけです。

パスキー保管庫のアカウントを乗っ取ってしまう手口のようだ

考えてみれば当たり前ですが、いくらしっかりパスワードを長く不規則にしたり、パスキーログインのみにしたり、そういう工夫をしても鍵保管庫が取られては無力なのです。ということで、僕も特に重要なアカウントについてはセキュリティ向上策をとることにしました。

セキュリティを考えるにあたって重要なのは「利便性を極力損なわない」ということです。こういうのは極論に陥りやすく、めちゃくちゃ不便なことをやろうとする人がいます。けれどもそれだと持続できないんですよね。単純に不便ですし。

ということで利便性を損なわず、重要なアカウントの防御力を飛躍的に高める処置を実施していきます。この記事が、これからセキュリティ改善に取り組もうとしている方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。

Apple IDを最も強固に守る方法:物理キー

一般的なApple IDの防御法として最も簡便かつ強力なのは「2ファクタ認証」です。これは信頼済みの端末(≒自分のいま使ってる端末)やSMSなどを利用して、パスコード以外の別要素にて確認します。多くの方はこれを使ってることでしょう。

ただし、これの弱点は2ファクタ目までフィッシング手法で盗られると犯人に乗っ取りを許してしまうことです。例えば「Appleにまつわる事柄で決済エラーが出ました!急いで対処して!」というフィッシングに引っかかって、パスワードもSMSコードも入力してしまったりとか。いま問題になっているのはこういう事例でしょう。本質的には「遠隔から新規ログインができうる」という点に弱みがあります。

実際に届いたAppleアカウント狙ったフィッシングメールです

この対策に、実はもう一段強力な方法がAppleには用意されています。それは物理キーです。実際にキー端末を買ってきて、それをカギにするわけですね。これを設定すると、以下のようなセキュリティ要件になります。

当サイト調べ。(正しいとは思いますが保証はできません)

これは2ファクタ目に数字コードを使用できなくなるのが特徴です。コードは遠隔でも入力できちゃいますからね。その代わりに物理キーや信頼済み端末(いま自分が使ってる端末)を近づける、という方法でのみログインが可能となります。つまりは自分の近くでしか新規ログインはできない、ということ。

ちょっとイメージ湧きにくいかもしれませんが、例えば新しいMacを買ったときとか新しいブラウザにログインしようとしたときですね。Apple IDにログインしようとしたら、物理キーか自分の既にログインしている別端末が近くにないとログインできません。これはかなり強力で、事実上フィッシングで抜き取るのは不可能でしょう。

今回はこの物理キーの導入を目指すことにします。

まずはセキュリティキーを2つ購入する

ということで、まずはセキュリティキーを2つ用意します。規格にあってれば特になんでもいいようです。僕は最もスタンダードなYubiKeyの安いモデルを準備しました。

僕が買った時点で5900円。Apple IDの保護のためには2つ必要なので、11800円の出費となります。まあパスワードが乗っ取られる被害を考えれば安いものです。これはUSB-Cモデルですが、他にもUSB-Aモデルもあります。ご自身の使いやすい環境で選ぶとよいでしょう。

amazonでポチって2日に到着。小さいのでポスト投函でした
あまり見たことのない、Made in Sweden。
かなり軽くて小さいので、持ち歩くことも問題なし

まずはApple IDに物理キーを設定する

では物理キーを用意できたので、Apple IDに物理キーを設定していきます。僕はiPhoneを使って設定しました。

「設定」→最上部のAppleアカウント→「サインインとセキュリティ」に進み、2ファクタ認証をタップ
下部にある「セキュリティキー」をタップ
セキュリティキーを登録画面まで行けたので、さっそく登録します。
反応はするんだけど登録ができない。なぜだろう?
出てきたURLをタップするとこんなメッセージが。まずは3秒USB接続してアクティベートしないといけないようだ
というこでUSBで接続。そうすると点滅が始まりました。

ここでの挙動もよくわからなかったのですが、iPhoneに挿しても点滅が続くだけでした。たぶんこれでアクティベートは完了したのかな?

そのあとやり直すと認証成功!ここで名前をつけておきます

ちなみにこの認証プロセス、USB-Cで挿すとうまく認証できなかったのですが、NFC(iPhone上部にかざす非接触プロセス)だと問題なくできました。もしうまく行かない人は試してみるといいです。

※追記:USB-Cで挿したあとにキーのyマークが点滅しているところに軽く指で触れないといけなかったみたい(わからんよそりゃ)

このプロセスをもう一本でも繰り返して完了です。

これにて無事にセキュリティキーの設定が完了しました。これ以降、この2つのキーを大切に保管すればOKです。僕は1本はデスク付近に置いておき、もう1本は普段から持ち運ぼうと思っています。

なお、このキーは紛失すると完全終了というものでもありません。1本を失ってもiPhone側の設定から、そのキーをセキュリティキーから削除することができます。そしてもう一本追加すればOKです。

無くしたとて焦る必要はそんなにありません。ただのカギですし、誰が使ってたかすらカギだけではわかりません。カギを元に自分のIDを乗っ取ることは不可能です。ちょうど家のカギを落とすのと同じことですね。カギを拾ったとしても家がわからないので悪用できません。対処法は落としたカギで玄関(≒Apple ID)が開かないようにするだけ。

※万が一、2本同時に失っても、信頼済みの端末があれば問題ありません。

iPhoneの2ファクタ認証メニューからセキュリティキーをカンタンに削除できます(追加もできる)

あとは、この物理キーは複数の端末で使用することもできます。僕は妻のiPhoneも同じ方法でこの物理キーを設定しておきました。これで妻の端末も乗っ取られるリスクは激減でしょう。

ついでにGoogleアカウントも守りを固めておく

我が家ではApple パスワードをメインで使っているのでApple IDが最重要です。けれどもそれと並ぶくらい重要なのがGoogleアカウント。人によってはGoogleの方が大事、という人も多いでしょうね。

僕の場合は主力事業としてやってるYouTubeアカウントがGoogleに紐づいています。なので、Googleを乗っ取られるということ、すなわち、YouTubeチャンネルを乗っ取られるということです。想像しただけでぞっとしますね。

Googleにも物理キー設定ができるので、それを進める方法を備忘録として残しておきましょう。目指す姿は以下です。

  1. 物理キーを新たに第2ファクタとして追加する
  2. SMSなど遠隔ログインしやすい方法は塞ぐ

これが実現できれば、万が一Googleを偽装したフィッシングメールに引っかかって、iCloudからパスワードを入れてしまったとしても、犯人はGoogleにログインできません。なぜなら、第2ファクタが物理キー(もしくはパスキー)だからです。

Googleアカウント管理の「セキュリティとログイン」に入ります。ここから「パスキーとセキュリティキー」へ
パスキーを作成をタップし、別のデバイスを使用をタップ
QRが立ち上がった場合は「戻る」
USBセキュリティキーをタップ
あとはキーを挿してYマークをタップしたり、iPhoneならNFCをかざすとOK。PINが求められたら適当なコード設定しておきましょう
これだけでは終わっていなくて承認を要求されます。ここで承認をタップしGoogleに再ログインします
これでセキュリティキーが設定できました!

まずはこの操作により、USBキーがGoogleアカウントのキーとして登録されることになります。ただ、これだけでは「2段階認証としてUSBキーが使えるようになった」だけです。SMSコードでログインできる経路がまだ残っています。これを防ぐようにしましょう。

Googleアカウントの高度な保護を有効化する

この遠隔ログイン経路を塞ぐには、このGoogleのサイトから有効にします。

https://landing.google.com/intl/ja/advancedprotection/より引用。右上の「使ってみる」をタップ。
「高度な保護機能にご登録ください」をタップ。僕は再設定用のメアドを修正しました
これで高度な保護機能が有効化完了!

設定はこれだけでOK。これによって、SMSを第二要素としてGoogleログインすることはできなくなります。

注意点:完全な遠隔ログインは防げてはいない

パスワードでのログインを試みた結果。「1回限りのセキュリティコード」が残ってる

上記の設定によってSMSを用いた2段階認証は防ぐことができました。一方で、テストをしてみると「1回限りのセキュリティコード」というのが残っています。これは、自分の信頼済み端末(Googleにログインできている端末)を用いて指定されたURLにアクセスすることで発行するコードのこと。これを自分でアクセスして犯人やフィッシングサイトに入力してしまうとアウトとなります。

正直なところここはちょっと消化不良だったなぁ….。完全に塞ぎたかった。

ただ、SMSと違っているのは「勝手にコードが送られてくる」ということが無いことです。焦っている場面では、自動でSMSメッセージがきて、スマホの自動入力機能で入力してしまう、ということが起こりやすいと言われています。一方でこのセキュリティコードは自分が能動的にアクセスしないとコードは発行されません。いったんそこで冷静になれる、ということですね。

本当はこれも塞いでしまいたいですが、現状塞ぐ方法は無いみたいです。まあ心がけとして、「Googleにはパスキーか物理キーでしかログインしない」と決めておけば大丈夫でしょう。最重要のカギ保管庫はApple IDですしね。

依然として残るリスクはあるが、危険性はかなり低くなった

この2つの対処により、AppleとGoogleのIDはほぼ遠隔ログインができなくなりました。利便性の低下もかなり少なく、満足いく対処ができたと思っています。

とは言え、重箱の隅をつつけばまだ不正アクセスの可能性は残っています。大きくは2つ。

  1. ログイン済みの端末を奪われ、その端末でID情報を書き換えてしまう
  2. 同一ネットワーク内でセッションIDを奪われてログインされてしまう(セッションハイジャック)

1については想像しうる限り、かなり可能性は低いでしょう。朝ごはんにパンをくわえて角を曲がったら美少女と衝突するよりも低いと思います。

そもそも認証済みの端末を奪った所で、アカウントを書き換えようと思ったら要所でまた端末のログイン(Face IDやパスコード)を求められますからね。ログインしたまま端末を放置する、ということも普通に考えにくいし。さらには盗難されたことに気づけば、別の信頼済み端末から盗難端末を遠隔初期化することもできます。盤石でしょう。

2の同一ネットワークも可能性としてはありえますが、相当なレアケースでしょう。結局、犯人たちが足を運ぶ必要があるものは、この手の乗っ取り事件には使いづらいのです。家から何万人もにトライして、セキュリティ意識ザルのアカウントを奪うほうが絶対に効率いいですから。足もつきませんし。

ただ、万が一に備えて、無料WiFiは極力使わない、などしておくつもりです。

結論:自分なりには満足のいく対策ができたと思う

ということで、昨今の情報流出事件を教訓に、自分のできる対策を全てやりきりました。客観的に見て、利便性も損なわれていないし、セキュリティレベルも格段に上がったので満足しています。Googleの1回限りコード以外は。

とくに僕の場合はApple IDが肝なのですが、そこが遠隔ログインできない状態になったのは大きいですね。このパスキー保管庫さえ盗られなければ、きっと大丈夫でしょう。

あとは不可効力としてiCloudそのものが情報流出してしまう、というシーンも想定されます。それについては、iCloudのキーチェーンは最初からエンドツーエンド暗号化(自分の端末でしか復号できないということ)されているので、問題にはなりません。その代わり、Appleも復元できないという諸刃の剣ではありますが。

もしApple IDのセキュリティ強化を図っている人は検討してみてくださいね。

※同じような手法は1PasswordやBitwardenでも取れると思います。確認してはないけども。

余談)セキュリティキーは他にもいろいろある

今回僕が導入した製品はスタンダードなド定番のセキュリティキーでした。他にもいろいろ使えるものはあるので、紹介しておきましょう。

ぱっと見のamazonでの最安はコレ。3500円。USB-Aです。最低限なら別にこれでもよかったかもしれない。値段にこだわるならチェックしてみてください。

これはYubiKeyの高級仕様です。通常仕様は場合によってPINコード(数字の羅列)を追加してガードを固められるのですが、これは指紋認証版です。物理キーだけでも強力なのに、そのキーを指紋でガードしてやるという特盛仕様。お値段も18800円と特盛です。絶対的な安心を求める人はコレがいいかな。

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