みなさん、資産運用は順調ですか?僕はこのところの株高に支えられてひとつの節目である5000万円を突破しました。その内容についてはこちらをどうぞ。
僕の資産運用はS&P500 ETFを中心に据えたパッシブ運用です。数あるS&P500 ETFの中で、特に深く考えずに1557と1655を買いためておりました。最近はメインを1655にしています。
一方で僕は勉強しない投資家を名乗るだけあって無知です。最近、恥ずかしながら自分の誤解に気がつきました。というのも、楽天証券ではとても簡単に米国株買えるということを知らなかったのです。詳しくは公式サイトをどうぞ。
ほとんど日本株を購入するのと変わらない感覚で買えるみたいです。知りませんでした。。。時代は進化してますね。てっきり円をドルに変えてがっぽり手数料を取られてから、ドル建てで発注する・・・みたいな面倒くさいプロセスが必要だと思いこんでおりました。
そうなると投資先の選択肢として浮上するのが「米国ETFを直接購入する」というスタイルです。そもそも1557も1655も米国ETFを間接的に購入しているだけのETFなのは有名な話。間接的に購入するだけでその手数料をとっているという、ドケチとしてはメスを入れたくなる構造をしております。
今回は米国ETFを直接購入するのと1655を購入するのはどちらがパフォーマンスがよいかを検討してみます。これからS&P500投資を始める方の参考になれば、これ以上にうれしいことはありません。
まずは米国のS&P500 ETFについて知る
米国にはS&P500に連動するETFとしてVOO、SPY、IVVの3つが有名です。どれを選んでもETFの資産規模は十分で、失敗することはない優良商品と言えます。基本データは以下のとおり。
VOO | SPY | IVV | |
経費率 | 0.03% | 0.09% | 0.03% |
分配金 | 1.28% | 1.28% | 1.51% |
資産総額(十億米ドル) | 257.8 | 401.4 | 298.0 |
5年トータルリターン | 18.10% | 18.03% | 18.10% |
どれも資産総額がデカすぎるほどデカイので、流動性やら強制償還やらの心配とは無縁です。というわけでどれでもOKなんですが、信託報酬(経費率)には差があってそれがトータルリターンに影響しています。今からSPYを選ぶ理由はありません。
VOOかIVVから選ぶにあたって考慮すべきは買付手数料です。楽天証券ではVOOは買付手数料が無料になっていますので、これを使わない手はありません。IVV手数料無料でないのは1655(IVVを買ってるだけの国内ETF)を買えという意味でしょうか?
そういうわけで僕が米国株ETFを買うならVOO一択です。
1655とVOOの基本情報から調べてみよう
まずは上記表にならって1655とVOOを比較してみましょう。
VOO | 1655 | |
経費率 | 0.03% | 0.0825% |
分配金 | 1.28% | 1.11% |
資産総額 | 257.8(十億米ドル) | 40.3(十億JPY) |
3年トータルリターン | 19.69% | 19.78% |
為替の影響があるためトータルリターンはあまり参考にはなりません。1655は円建て、VOOはドル建てですので。資産総額は圧倒的にVOOが大きいですが、1655も十分大きいので気にするところではないでしょう。それに1655はIVVを買ってるだけのファンドなので、償還になる可能性も低いです。
そうすると主に考慮すべきは経費率です。VOOのほうが圧倒的に経費率が安く、1655を選ぶ理由がなさそうな気もします。
1655じゃなくてVOO買っとくべきだったかな・・・
と少々後悔しましたが、上記は重要な事項を考慮しておりません。それが手数料です。
VOOでの運用にかかる手数料を整理する
楽天証券やSBIなどの大手証券会社は米国株の手数料でも競い合っています。昔のことは知りませんがかなり安くなってるとのこと。しかしながら以下の手数料は依然としてかかりますので、パフォーマンス比較には考慮にいれなくてはいけません。これが結構ややこしい。
楽天証券を想定したときにVOO運用にかかる費用は以下です。
- 売付手数料 約定代金の0.45%(上限22USドル)
- 為替スプレッド 25銭
楽天証券においてVOOは買付手数料は無料ですが売付手数料は有料です。ここ要注意。上限は22米ドルで約2300円くらい。
それと為替スプレッド(為替手数料)が必要で、円をドルに換算する際はレートが+25銭、ドルを円に換算する際はレートが-25銭で計算されます。この2つの手数料を考慮してパフォーマンスを比較してみましょう。
1655とVOOのパフォーマンス比較結果
パフォーマンス比較にあたって計算の前提を以下のとおりに設定しておきます。
- 為替レート 1ドル110円
- S&P500 の成長率 年率8%
- (年間の投資額 300万円 1655とVOOの相対関係には影響しません)
上記前提で15年分を計算した結果がこちらです(単位は万円)。
15年でたったの1万円しかパフォーマンスに影響していません。まあこれだけの差なら誤差と言ってもいいでしょう。つまりどちらを選んでも問題ないのです。
ただ、上記の結果は為替レートやS&P500の年間成長率で相対関係が入れ替わります。例えば、円安になると為替スプレッドが効かなくなって差が縮まりますね。
要注意:1655の信託報酬は期間限定で引き下がってるらしい
これも僕が無知で知らなかったのですが、1655の信託報酬0.0825%は期間限定で引き下がってるらしいです。22年6月には信託報酬が0.165%に戻るんだとか。
もし、0.165%に戻ったとしたらVOOと1655には60万円ほど差がつきます。
ただ、1655はちょうど一年前にも21年6月まで信託報酬を0.0825%に期間限定で下げると言っていて、それを延長して今に至っています。なんとかこのまま永遠に信託報酬を0.0825%にしてくれんかな・・・w ワンチャンはあるかもしれないですね。そもそも他社が2558など0.08%前後のS&P500連動商品を出してきているので、信託報酬が0.165%だとたぶん戦っていけませんよね(と希望的観測を述べてみる)。
ここまでの分析を総合して判断すると、
- 2021年10月の信託報酬、手数料条件なら1655とVOOに差はない
- 1655は22年6月以降に信託報酬が上がる可能性がある
- 米国株手数料は将来的に下がる余地がありそう(今の為替スプレッドは一般的なFX証券会社に比べて10倍高い)
こうした状況を踏まえると、現時点ではVOOを購入したほうが良い気がしてます。
注意すべきはNISA口座と税金関係
ここで問題をさらにややこしくするのが税金関係です。以前に1557から1655に鞍替えした理由に外国税額控除があるという記事を書きました。
1655は何も手続きをしなくても税金で損をすることはありませんが、VOOは1557と同じ扱いになります。つまり、分配金をもらったら確定申告をしないと二重課税状態になるわけです。これは面倒くさいけど仕方ありません。確定申告はしましょう。
※間違いがあったので以下訂正
NISA口座の場合は1655であってもVOOであっても外国税を取り戻すことはできません。国内税で調整しているのに、その国内税が非課税なので当然と言えば当然。この辺の外国税の話は少しややこしいので、興味ある方は下の動画をご覧ください。
結論:大差ないので好きなやつ買えばいいと思います
結論は特定口座はVOO、NISA口座は1655で行くのがベストのように思えます(楽天証券で1557は分配金に国内税すら喰らうので・・・)。ただ、国内のS&P500連動ETFは色々と新しいのが出てきていて、信託報酬が安いものもチラホラ(2558など)あるようです。この辺は何を買えばいいのか色々と迷いどころ。
結局は上記の計算のとおりで15年で60万円ほどしか差がつきません(年間300万円ずつ投資するとして)。これを大きいと見るか小さいと見るかが判断の分かれ目でしょう。僕は資産総額9000万円に大しての60万円なら管理が楽なほうがいいかなとも思います。
というわけで、これから投資を始める方は個人的には上記のように1655がいいかな。僕のように中途半端に1557や1655を買ってしまってる人は大差ないから好きにしろって感じ。僕は1557を愛してやまないので、きっと1557を買い続けると思います。VOO買ってますってのはちょっとかっこいい響きで憧れてたりするw
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投資を学ぶなら:資産運用ですごく勉強になる書籍
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この本は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。僕と同じく、初めて投資書籍を読まれる方にはこの本を最初にオススメします。
投資に関するネット記事は数あれど、最も有名で価値ある記事はコレなのでは?という記事の書籍版です。ぜひ投資書籍の2冊目に読んでほしい一冊としてピックアップしました。これを読むだけで本当に資産運用が完結する内容になっていて、僕も当時衝撃を受けました。もちろん書籍版の内容の本質はネット記事とほぼ同じですが、理論編がわかりやすく改定されていたり、読みやすくなっています。
インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。インデックス投資家の教養として読むべき本です。
これは僕が最近読んでよかったと思ってる本です。マクロ経済における金利の重要性を懇切丁寧に説明してくれています。金利が経済の基本であることを再認識させられました。初心者でも読みやすいように書かれていて、とくに予備知識は必要ありません。投資タイミングに活かせるかと言えばそこは同意しかねますが、金利による経済の定性的な動きを理解するのはこれで十分と思いました。
この本はKindle Unlimitedの読み放題サービスで提供されていることが多いです。Kindle Unlimitedは初めてであれば30日無料体験が使えるので、それで読み切ってしまうのもいいかと思います。僕はそうしました。
これは最近複数の視聴者さんに紹介してもらって購入した本です。主張は題名どおり「余剰資金が出たら即刻インデックス投資せよ」というもので、僕も思想とほぼ一致しています。また、前半部分では「節約には限界がある」「収入を増やす努力をしよう」という主張もされていて、その辺も共感できる部分は多いです。とてもいい本だと感じましたので、よかったら手にとってみるとよいかと思います。
これは最近視聴者さんに教えてもらった本です。株式投資や資産運用の考え方を学ぶのに、とても素晴らしい名著だと思いました。著者はインデックス投資にも精通していることが伺える一方で、各個人の資産運用は人としての合理性も考慮すべきと説いてます。株式投資のリターンは「リスク(値動き)の対価」をわかりやすい例も含めて明示してくれていて、投資初心者の方にぜひ読んでみてもらいたい本ですね。
2024年の年初に亡くなられた山崎元さんの遺作。内容は父から息子への手紙をイメージして、資産運用や生き方のアドバイスをおくるというもの(実際に送られた手紙の内容もあります)。涙なしには読み切れない名作でした。投資における主張はいつもの著者のものと全く同じ。ブレないところが山崎さんの良さですね。ぜひ読んでもらいたい一冊。
米国の著名投資家ハワード・マークス氏の著書で、彼の著書はなんとあのウォーレン・バフェットのお気に入りらしいw バークシャー・ハサウェイの株主総会でこの本を配ったというウワサも残っています。ハワード・マークス氏自体はインデックス投資にも一目を置くアクティブ投資家で、市場平均に勝つのは難しいと認めつつもどうすれば勝てるか?を色々とアドバイスしてくれる本です。
僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。
上記の本に加えてもう少しファイナンスを詳しく知りたい方向けにおすすめです。CAPMの考え方やそれをもう一歩発展させた3ファクターモデルのことも理解できます。ほかにもプライシング理論やリスク管理などの基礎知識もこれで十分わかるかと。
インデックス投資の父でありVanguard創業者のBogle氏の名著です。僕が最も尊敬する偉人でもあります。その先見性と残された功績には尊敬の念しかありません。内容はインデックス投資のベーシックな内容ですが、後半には債券との組み合わせ論などにも言及されています。全部が全部同意見というわけではありませんが、インデックス投資を志す者であれば必読書とも言ってよいかと。
ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。
本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。
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