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【出口戦略】S&P500を定率・定額で売ったときに金額はどうなるか?【モンテカルロシミュレーション】

資産形成&節約
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皆さん、出口戦略について考えたことはあるでしょうか?僕は正直あまり考えていません。それでも以前にFIREした時を妄想して、色々と売り方を考えたことはあります。基本的な考え方は以下の記事で述べてきました。

上の記事では「投資収益>支出」となる状態を目指して、それはどういう状態かを論じてきました。一方で出口のありたい姿は人それぞれです。最後にお金が残らないように使い切る、というのが資産運用の目標である人も多くいるでしょう。

というわけで、今回は代表的な売り方である定額、定率で売ったときに、どのようにリターンおよびリスクが変化するか?を計算してみたいと思います。この記事がこれから出口戦略を考える人の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。

もう少し詳しい内容はYouTubeで見てね!

計算の方法

今回も当ブログではおなじみの幾何ブラウン運動モデルを用いて、それに定額および定率で売却していく項を追加したものを使います。これでモンテカルロシミュレーションを2500回まわして、その結果を統計処理することにします。

パラメータはどれだけの量を定期的に売っていくか?です。以降のグラフには%で示していますが、これは年間換算の比率と解釈ください。

なお、資産は全てS&P500インデックス投信を保有しているものとし、年間の収益率、リスクは1970年からのS&P500データから算出したものを用いました。

計算の前提は以下。

定率で売った場合

では早速結果を見ていきましょう。上のグラフは定率で売った結果です。プロットしている点は2500回計算した結果の中央値、エラーバーは±σ/5で表現しています。なので、けっこうばらついているということです。

特徴はまず6〜8%で最大値をとること。ここがこれまでのS&P500の成長からすると売却金額がベストになる点のようです。ただしばらつきはかなり大きいのが見て取れます

一方で売却量を増やしていくとばらつきが減り、リターンも減っていくのがわかると思います。これは早期に現金比率を増やしていくと機会損失と引き換えに暴落をくらう危険が減る、というのを端的に表しているでしょう。

上のグラフは売却総額をばらつき(標準偏差)で割ったものをプロットしました。リスクあたりの売却金額を示したもので、これが大きいほうが確実性の高い売り方ができる、そんな意味です。

定率売りの場合は大きく売れば売るほど単調に増加していく傾向が見て取れます。つまり、定率売りは大きく売って現金比率を早めに高めたい人に向いているのです。

定額で売った場合

次に定額で売る場合です。これは特徴が定率と全く異なります。

最も特徴的なのは少額で売った時です。驚くほどにばらつきが小さいのがわかるかと思います。後々考えてみると当たり前なんですが、少額&定額で売っていくと30年後に資産が残ってさえいれば、全く同じ金額を売却することになりますよね?つまりはばらつきが全くない結果が得られるということです。

それが売却額を増やしていくと、30年の途中で資金が尽きるパターンが出てきます。それがばらつきとなって結果に現れるわけです。この場合だと6%以上でばらつきが現れ始め、14%でピークを迎えるのがわかります。そして14%を超えると、定率と同じく大きく売れば売るほど結果は安定していく傾向です。

先程と同じく売却総額を標準偏差で割った結果をプロットしてみました。これは想像がついたかもしれませんが、少額売りだと標準偏差が0に近づくので発散してしまいます。つまりは少額になればなるほど安定した結果が得られるので、定額売りは定率とは真逆で少額の売りに向いている性質がある、と言っていいかもしれません。

2つを比較してみよう

続いて双方をひとつのグラフにプロットしてみました。そうするとどちらも7〜8%に頂点をもつのがわかります。絶対値は定率のほうが高そうですが、ばらつきは圧倒的に定額が小さいです。この辺は一長一短。大きく売る場合は金額もばらつきも定率がよさそうですね。

次に定率売りと定額売りの売却総額/標準偏差を比較してみました。これで見ると上述の結果の特徴がつかみやすいです。

12%付近を境に、それより少額だと定額、高額だと定率がいいという結果を示唆するものです。もしFIREを目指すような場合は定率のほうが結果が安定しやすく、ライフプランが立てやすいでしょう。一方で冒頭のように確実に現金化して逃げ切りたい方は多めに定率で売っていくと結果が安定します。

結論:逃げ切るなら定率、少額売りなら定額がよさそう

今までなんとなく定額がいい、定率がいい、とか思ってきましたが、自分で計算してようやく2つの特徴を捉えられるようになりました。こんなに定率と定額で特徴が違うとは、正直自分でも驚きです。

この結果をどう活かしていくか?は読者のみなさん次第なのですが、僕の場合は基本的には定額ベースでいこうと思っています。というのは僕はFIREを目指しているので、おおよそ6%くらいで売っていくことになるからです。それなら今回の検討結果を踏まえると定額がいいでしょう。

まあとは言っても、お金の需要は不規則なのが当たり前です。それに不必要に先に売る必要もありません。基本的には必要なときに必要なだけ売っていく、というのが僕の変わらない作戦ですかね。

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