S&P500銘柄を複数もっている時の売る順番を考えると意外なことがわかる

資産形成&節約
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みなさん、資産運用状況はいかがでしょうか?僕はここ最近の下落相場の煽りを受けて災難が続いていますが、特に焦ってはいません。日常生活で困るようなことではありませんからね。なので、今は特に売却したりするつもりはなく、ひたすらにコツコツと積立て続ける所存です。

一方で、いま所有している投資商品はいつかは売却します(売らないまま死ぬこともあるだろうけど)。いざ売却する時期に考え始めると冷静になれないでしょうから、早いうちから売るときのことを考えておくのはよいことでしょう。その売り方について、僕にはひとつ悩みがありました。

上図は僕のメイン口座の保有銘柄です。見てみるとS&P500やVTIと言った全米系の銘柄が複数あったり、レバナスも2種類あったりして、ほぼ同じ投資対象なのに銘柄が分かれてしまっている状態なのがわかります。もちろん各銘柄で買った時期はバラバラですから、含み益のものもあれば含み損のものもあるんです。このような場合、どの銘柄から売っていくべきなのか?がイマイチよくわかっていませんでした。

なお、このようなカオスな状況になったのには特に意図はありません。主には過去に証券会社を複数使っていて、楽天証券(NISA口座)では1655が手数料無料、カブコム証券では1557が手数料無料、となっていたためです。今では楽天証券で両方とも手数料無料ですので関係ない話。他にもNISAお金の端数を投信で埋めたりだとかしてるとこんな感じになっちゃいました。

というわけで、今回は僕と同じような境遇にいる方が売るときにどのように考えるべきかを考察してみたいと思います。この記事がこれから投資を始める方の参考になれば、それ以上にうれしいことはありません。

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簡単なケーススタディで考えてみよう

というわけで、今回は簡単なケーススタディをしてみて、具体的に金額がどのように変化するか?を見ていきましょう。前提は以下です。

2つの値動きが同じ投資商品を持っていたとして、含み益が異なる場合を考えます。最初に200万円分(税引き後で!)を売却し、その後どのような挙動をとるかを調べてみましょう。

① 両方とも含み益の場合(0 < X < Y)

おそらく最もありそうなのがこのケースです。このブログの読者の方は長期投資をされている方が多いでしょうから、切り崩し期には保有銘柄がどれも大なり小なり含み益を持っているものと思われます。

上図は含み益10%のものを売った場合と50%のものから売った場合を比較しています。同じ投資商品なので差は大きくありませんが、含み益小さい側を売ったほうがパフォーマンスがよいのがわかるかと思います。

原因はめちゃくちゃ簡単です。勝負は最初に200万円ぶん売ったときについています。

上の表は小さく利確した場合(含み益10%から売った場合)と大きく利確した場合の税引き前後の評価額を示しています。当然ですが税引き後の評価額は同じです。一方で税引き前の評価額は小さく利確したほうが大きくなっているのがわかります。

そして、この後の成長はもちろん税引き前の価格にかかってきます。なので、成長する幅が小さく利確した場合のほうが大きくなり、差がついてしまうわけですね。

とどのつまりは税金を早い時期にたくさん払ってしまって、評価額を減らしてしまったのが敗因ということです。

損確の場合はもうちょっと複雑 ( X < 0 < Y )

続いて損失確定の場合を考えます。この場合はちょっと複雑です。

というのも、損失を確定させた分は課税所得から減額してくれる救済措置のようなものがあるからです(最近、競馬の負け馬券は経費にならないのに・・・と話題なってたあれ)。確定申告すれば還付金を受け取ることができます。

戻ってくる金額はどれだけの課税所得があるかによるので複雑なのですが、平均年収くらいなら20%程度です。これだとほぼ株の税金と同じですね。

所得税率 20%の場合

この場合は株の税金≒所得税率なので、今までの結果とほぼ同じ。含み損から売って損失確定させたほうが有利です。なお、ここでは X = -30%、Y=30%と適当に置いてます。

課税所得4000万円以上、税率45%

さらに所得が多い方をプロットしたのが上です。この場合は還付される金額が増えるので、さらに損確させたほうが有利に働きます。まあ、課税所得4000万円以上の人はなかなかいないと思いますが・・・。

違和感がある?

ここまでの結果は「利確より損確を優先しろ」というものです。株取引の基礎をやったことがある人には、この結果に違和感をもつこともあるかもしれません。利確は大事ってめっちゃ言う人いますからね。

ここからは僕の勝手な仮説です。違和感をもつ人はきっと人間の本能の部分でそう感じているんだと思います。上のクイズは有名なプロスペクト理論の一例です。

僕がフラットに考えると赤矢印の答えを選ぶと思います。実際にここに挙げたAとBの選択肢は期待値は同じなので、数学的にどちらが優れているといったものではありません。しかしながら人間は儲ける状況だと確定させたくなって、負けてる状況だと一発逆転を狙いたくなる動物なのです。それは本能的にそうなっているみたい。

だから「利確すんな損確しろ」と言われると違和感があるんじゃないでしょうかね。上のクイズはAとBがフェアな条件ですが、ここまでの含み益うんぬんの話は税金によって利確が不利になっているだけです。フェアだと思ってたら税金のせいでフェアじゃなかった、という塩梅でしょうか。

例外もある

ここまでの利確が不利になる条件は全て税金が原因です。ここに影響が出ると、損確が絶対に有利、という話は結論が変わります。

①NISAの場合

一つ目はNISAの場合。NISAは非課税口座ですから、税金の影響がありません。そして、損失を確定させたとしても所得税控除を受けることもできないんですよね。なので、この場合は含み益がどうであろうが、どちらを売っても同じ結果になります。

心情的には非課税口座を上手く使ったと言い張りたいので、利確から優先してやりたいところです。精神論だけどw

②所得が低い場合

続いては所得が低い場合です。この場合、所得税が低いので還付される金額が少なくなります。つまりは損失確定の旨味が減ってるんですね。

一方で税引き前評価額自体は利確よりも大きいわけですから、成長が続けば逆転するような結果になります。なので、この場合は一概にどっちがいいとは言えないんですよね・・・難しい。

ちなみに上のグラフは動きが見えづらいですが、スタート時点は2本の線は同じ位置にいて、最初は”利確”がリード、途中で”損確”が追い抜く展開になっています。色々と要素が重なっていて、一概にはどっちがいいとは言えない、めんどくさい状況です。

③そのほか

ここまでは投資対象が同じものの場合を論じてきました。なので、投資対象が異なる場合は適用できません

計算結果を見てみてもわかるとおり、20年運用したところで差は数パーセントです。こんなものは成長率の差で簡単にひっくり返ります。なので、投資対象が異なる場合は期待している方を残してください。

まあどれくらい成長を期待できるか?を判断するのは非常に難しいですけどねw フェアな条件で有利な損失確定から進める、というのは理にかなっているかもしれません。

結論:利確したいのはわかるが文明人なら損確からやれ

投資界隈でよく見かけるのが利益確定を自慢する風潮です。優越感に浸りたいがために利確したくなる感情もわからないでもありません。

しかし一方で税金のことを冷静に考えれば損失から確定させていくのがセオリーなのは明白です。みんなが利確している中、損失から確定させていくスマートさが投資には求められます。

もともとの目的は何だったのか?しっかり考えながら売却という行為を進めていただきたいものです。資産をできる限り増やすこと、ですよね。マウントとることではないはずです。

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おまけ:資産運用おすすめ書籍

僕はほとんど読書をしません。そんな僕でもスラスラ読めちゃう良い本ばかり。どれもいいこと書いてあります。

以下の中にはKindle Unlimited(月々980円 読み放題)のサービスで利用できるものもありますのでチェックしてみてください。Kindle Unlimitedは無料期間もたまにあります、いつかはわからないけど。

僕が一番好きな本。難しい数学的な知識を必要とせず、現代ポートフォリオ理論(≒ランダムウォーク理論)をかじれます。正直な感想を言うと全ての書いてることが興味深かったわけではありません。なので隅々まで読んだわけではないですが、理論のところはとてもわかりやすいのでおすすめです。これ読んでからWikpedia見たらだいぶ理解が進みました。

インデックス投資の名著中の名著です。個人投資家にとっての投資は「ミスった者が負ける」敗者のゲームになった、というのがタイトルの由来。ここで言うミスとは、市場動向に動揺して売買してしまうことを指します。いいからインデックスホールドしとけ、という本。

ランダムウォーク理論(株価の動きはわからないという前提を置く理論)について、歴史を交えて語った本。これも名著と言われています。理論の概念はざっくりとわかるかと。歴史の部分が長くて、そこは読み飛ばしました。

本をほとんど読まない僕が唯一知ってる作家さん、橘玲さんの本。とても読みやすい文章で書かれていて、こんな文が書きたいなといつも思ってます。僕が海外株を中心に買っているのはこの本の考え方に近いです。

この2冊は僕が初めて読んだ投資関連の書籍。当時、個別株で失敗し、偶然思うがままに買い付けた米国株インデックスETFに出会い、それにいい感触をもっていました。その感触を自信に変えてくれた本です。

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